時価総額3兆のAirbnb創業ストーリーを読んだ気になれる一節をピックアップ

たった8年で時価総額3兆円を突破したAirbnbの創業話は有名ですね。

エンジニアとスタートアップの視点からですが、心に残った一節をピックアップしてみました。

 

Airbnbとは?

Airbnbは民泊マッチングサービスです。

日本では旅館業法に反するとして色々問題になってましたが、年間180日以内であればOKという閣議決定がされました。早くて2018年から解禁される予定ですね。

民泊サービスと旅館業法に関するQ&A |厚生労働省

 

では早速心に残った一節です

 

初めて民泊をやってみたときのシーン

3人のゲストはヒッピー系にはほど遠かった。みんなプロのデザイナーで、チェスキーたちの部屋がちょうど予算に合っていたというだけだ。もちろん、彼らにしてみれば、かなりの冒険だった。

1章 大ばくち / 34P

 

いわゆる起業の原体験のようなシーンで、予算にあった宿にはニーズがある、それがだれかの家でも。こういうアイデアはやってみないと分からないし、ユーザーに聞いても教えてくれないアイデアだと思う。だってAirbnbがなかったらだれかの家に泊まらせてもらおうなんてことを考えもつかない。Airbnbはこの体験から始まっている。

 

創業者のうち一人のエンジニアがアイデアに悲観的になったシーン

チェスキー=CEO/デザイナー

ゲビア=CPO/デザイナー

ブレジャージク=CSO/エンジニア

それでも、チェスキーとゲビアはアイデアを磨き、サイベルからフィードバックを受け、電話でブレジャージクと話し続けた。実際この時期に、新生エアベッド&ブレックファストの壮大な将来像がはっきりと見えてきた。大規模カンファレンスに的を絞るより、ホテル予約と同じくらい簡単に誰かの部屋を予約できるようなウェブサイトの方がいい。それは、今のエアビーアンドビーの核になるコンセプトだった。しかしそのためにはサイトの中で完結できる高度な決済システムを構築しなければならない。その上、レビューシステムとほかのすべての面ではるかに足腰の強いサイトが必要になる。

(中略)

だが、ブレジャージクが聞きたかったのはまさにそういうことだった。

1章 大ばくち / P47

 

創業者の3人はデザイナー2人とエンジニア1人で、最初の民泊はうまくいったが少し大きく展開しようとして失敗している。 その時に最後まで諦めなかったのはやっぱり今CEOをやっているチェスキーであるし、エンジニアはロジックで考えるので悲観的になりがちだ。

 

実際に新規事業の現場ではよくある光景で、ビジネスサイドがどうやったら今の問題を解決できるかを考えきれないとエンジニアは付いてこれないというのが自分の素直な気持ち。最終的に、ホテルと同じくらいだれかの部屋が予約できる世界っていうコンセプトがシンプルだし、チャレンジングだし、自分が作りたい世界とマッチした時エンジニアは覚醒するのだと思う。たぶんブレジャージクもね。

 

Yコンビネーターでのシーン

「そうか、君たちはマウンテンビューにいて、ユーザーはニューヨークにいるんだな?」

3人は顔を見合わせ、またグレアムを見た。

「はぁ」

「こんなところでなにぐずぐずしてるんだ?」グレアムは言った。

「ニューヨークへ行け!ユーザーのところに」

1章 大ばくち / 63P

 

プロダクトをよりよくする(グレアム的には「人がほしがるものを作れ」)には、ユーザーを事細かに観察してフィードバックを得るのが近道だ。ユーザーがニューヨークにいるならニューヨークに行かないと分からない。人がほしがるものを勝手に想像して作っても多くの場合本当に欲しかったものと違うものが出来上がってしまうことを指摘しているのだと思う。

 

エンジニアは椅子に座ってプロダクトを作ることが多いけれど、立ち上げるフェーズではユーザーを観察したりフィードバックを定期的に得られるような状態を作らないと人が欲しがらないものを作りかねない。

 

3人のチームから会社としてスケールするシーン

「ひとりめのエンジニアの採用は、自分の会社にDNAを入れるようなものだ」チェスキーはそうスタンフォードの学生に語った。言い換えると、新しい機能をいくつか足してもらうための採用ではない、ということだ。

2章 会社をつくり上げる / 74P

 

いくらスキルがあってもマインドが付いてこないと組織は大きくならないし強くなれない。必要だからと安易にエンジニアを採用していればきっとここまで成長しなかったんじゃないかな。どんなに難しくてもスキルとマインドの両方がセットになって初めて採用するべきだと経験的にも感じる。

 

この後、Airbnbで貸し出している部屋がめちゃくちゃにされたホストの話ではトラブルへの向き合い方や仕事観などが記述されているが、心に残ったのは序盤の立ち上がっていくシーンばかりだった。資金調達のために安いシリアルをスーパーで買ってきて、箱をデザインし直して販売する商魂たくましさとかユーモアのセンスもある。

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"「オバマ・オー」シリアル販売"でのAirbnb (エアビーアンドビー)さんからの写真

 

最近Airbnbは民泊という旅の中の宿泊部分しかやってこなったのを、もっと広げようとして新しいサービスをリリースしました。

 

Airbnb、新サービス「トリップ」を公表。旅のニーズをひとまとめに、機能拡大。 | 日本最大級の民泊情報サイト MINPAKU.Biz | 民泊・Airbnb運用代行比較

 

暮らすように旅をしよう!はどこまで成長するのか

これからも目を離せませんね